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プロセスエンジニアリング

2016年5月10日 (火)

機械工学と化学工学 その1

大学および大学院で機械工学科を学んだ後、エンジニアリング会社に就職し、化学プラントのプロセスエンジニアとして20年以上働いてきました。その後、独立して有限会社コムテック・クウェストを設立し、今もプロセス設計の分野にどっぷりと浸かっています。

機械工学では流体工学を専門に勉強してきましたので、化学プラントの基盤である”化学工学”について勉強する機会はありませんでした。エンジニアリング会社に入ってからも化学プラントの専門用語を理解しながらプロセス設計に慣れることにほとんどの時間を費やしましたので、体系だって化学工学を勉強する暇はなかなかありませんでした。その中で曲がりなりにも化学工学に触れた最初の機会はアンモニア合成反応器の設計でした。それ以降、プロセス設計を行う中で化学工学に親しんでいき、いつの間にか問題解決に際しての化学工学的アプローチについて理解出来るようになりました。

この記事のタイトルとして”機械工学と化学工学”を選んだのは、機械工学と化学工学の狭間の中で右往左往した私の体験談を述べることで、読者の皆さん、特に若いエンジニアの方々のお役に立てればと思っております。

最初のエピソードは圧力損失の計算式の名称についてです。

例えば円管内を流れる際の摩擦によるエネルギー損失を機械工学では損失水頭(head loss)で表し、その計算式をダルシー・ワイスバッハの式(Darcy-Weisbach equation)と言っています。この損失水頭に流体の密度と重力加速度を乗じることにより圧力損失(流体単位体積当たりのエネルギー損失)を求める事が出来ます。一方、国内の化学工学分野では圧力損失を求める計算式をファニングの式と言っています。ダルシー・ワイスバッハの式は次元解析から得られた式で、ファニングの式は流体にかかるせん断力と圧力損失との関係から求められた式です。

化学工学を勉強することなくエンジニアリング会社に入りましたので、入社一年目に”ファニングの式”の意味を上司から問われましたが、答えることが出来ず、怪訝な顔をされたことを今でもはっきり覚えています。勿論、両方の式から得られる圧力損失は同じ値を示しますが、使用されている摩擦係数の定義が違っており、慣れるまで多少の時間を必要としました。

なお、ダルシー・ワイスバッハの式についてはウィキペディア日本語版で詳細を知ることが出来ますが、ファニングの式についてはウィキペディア日本語版には見当たりません。また、ウィキペディア英語版でも同様で、ファニングの式に関しては"Fanning friction factor"で検索してみて下さい。

2010年12月 9日 (木)

プロセスエンジニアリングとは?

最近、機会があって医薬分野の仕事をすることになった。

早速、アマゾンから関連図書を購入して読んでみたが、医薬分野でのプロセスエンジニアリングの役割について再認識した。要は実験室(ラボ)スケールから商業プラントスケールへのスケールアップにおける諸問題を解決することで、現在、担当している石油化学企業のファインケミカル分野と類似しているが、根本は違うかもしれない。

やはり、医薬分野での専門用語を理解するのは手間がかかる。

例えば、”キロラボ”とは・・・?

2010年1月 6日 (水)

プロセス開発と商品化 その2「三次元的なものの見方」

”プロセス開発と商品化”の第2回目は「三次元的なものの見方」です。

当たり前の話ですが、プラントを構成する機器や装置は平面的に配置されているわけではありません。機器を縦方向に配置することにより敷地面積を縮小し、建設資材を減らすことでコストダウンが可能となります。

それ以外にも立体的な配置にしなければならない理由があります。例えば、蒸留設備の設置計画を考えてみましょう。

蒸留塔は塔本体とコンデンサー(凝縮器)やリボイラー(再熱器)、それと関連するポンプや槽から構成されています。これらの機器を設置する際には、各機器を連結する流体の性質や流れ方向を考慮する必要があります。つまり、

  1. 塔頂を出た蒸気を冷却凝縮するコンデンサーがエアークーラー(空気冷却器)を採用する場合には、コンデンサーの設置高さは出来るだけ塔頂に近接するのが望ましい。
  2. コンデンサーの冷媒に冷却水を採用する場合には、蒸気配管と冷却水配管の引き回し(配管長さと重量)を考慮して設置高さを決定する。
  3. リボイラーは塔ボトム液を加熱して蒸発させ、熱源として塔本体に戻します。このリボイラーは塔ボトム近辺に設置しますが、循環方式(自然循環方式と強制循環方式)を考慮してリボイラーと塔の位置関係や配管長さを決定します。ただし、ベーパーロック(急激に液が蒸発し、蒸気がチューブ内に充満して流れが停止する現象)を避けるために、少なくてもリボイラー接液部は塔ボトム液面より下に位置しなければなりません。

これ以外にもコンデンサーからの凝縮液を一時的に貯留する循環ドラムとコンデンサーとの位置関係にも注意を払う必要があります。一般には循環ドラムはコンデンサーより下に設置されますので、塔運転が停止した場合には一度に滞留液が循環ドラムに流れ込みます。特にエアークーラータイプのコンデンサーは冷却管だけでなくヘッダーやマニホールドなど容積が大きいので、必然的にそこに滞留する凝縮液量が多くなりますので、循環ドラムの容量を大きくする必要があります。

このように縦方向の位置関係により、機器の大きさを変更する場合もありますので、三次元的なものの見方を忘れてはなりません。

2009年10月26日 (月)

プロセス開発と商品化 その1「プロセス開発と必要な技術」

今回から”プロセス開発と商品化”について述べていく予定です。第1回目は「プロセス開発とは」で、関連するキーワードは「フラスコからプラントへ」・・・。

実験室レベルで開発された製品を商品化するためには”プロセス開発技術”という特殊なテクニックが必要となります。何が特殊かというと、一般的なプラントエンジニアリングとは違って、プロセスの開発には”わからない”あるいは”経験していない”ことが多々あるからです。

一般的なプラントエンジニアリングは(誤解を招かないで欲しいのですが)マニュアルエンジニアリングです。これは実は仕方のないことで、ミスを少なくして品質を向上させるためには定型化あるいはマニュアル化したエンジニアリングがベースとならなければならないのです。

逆説的に言いますと、マニュアルを作成しようとする機運が出てくるタイミングは、そのプロセスの成長が止まる時期と重なっているようです。もちろん、これは私の個人的な意見ですが・・・。

プロセス開発においてプロセスエンジニアに必要な知識は、数多くの実験や試験から意味ある結果を抽出し、そこからエンジニアリングに必要なパラメーターを見出し、そしてエンジニアリングの段階で欠陥を探し出す洞察力です。

この洞察力を養うためには何が必要か。その一つはものの流れを想像できるイマジネーションです。

プロセスプラントは装置や機器、それを結びつける配管や制御弁などの計装機器から構築されており、その中を流体や物体が動き回ったり移動する有様を理解できれば必要なエンジニアリングが何か、そして起こりうるトラブルを未然に防ぐことが出来ます。そのためには流れ学あるいは流体力学についてもう一度学習することです。それも色々な流れの有様を実験やシミュレーションで理解することです。

具体的には以下のようなフローパターンですが、あなたも一度は見たことがあると思いますが・・・。

  • 曲がり付近のフローパターン
  • 容器から配管に流出する際のフローパターン(縮小)
  • 配管から容器へ流入する際のフローパターン(拡大)
  • 配管を流れる二相流のフローパターン
  • ノズルから流出する際のフローパターン
  • 圧縮機やポンプなどの回転機内のフローパターン

その次に必要なものは、三次元的なものの見方です。これについては次回に。

システムインテグレーション その7 ”インテグレーションの前に行うべきこと”

前回、スチームタービンの形式を復水タービンから背気タービンに変えることを提案いたしました。

スチームタービンで得られる動力は、入口スチームと出口スチームの各エンタルピーの差にスチーム流量を乗じた値になっています。復水タービンから流出するスチームの温度レベルはおよそ50℃ですので、そのエンタルピーは50℃の飽和蒸気のエンタルピー(2591kJ/kg)にほぼ等しくなっており、圧力は約12kPaと大気圧以下になっています。

一方、背気タービンから流出するスチームの圧力は大気圧以上で、スチーム・ユーザーが必要とする圧力に依存します。ここでは絶対圧力で0.4MPaとします。

質を向上させ、システムインテグレーションを容易に行えるようにしましょう

インテグレーションパーツの候補となる幾つかを示してみました。そこで今回はどうやってインテグレーションパーツを選ぶかについてお話しましょう。

インテグレーションを構築するために廃棄されているエネルギーの温度レベルと熱量を整理すること説明しましたが、実はこの”見かけ”の温度レベルと熱量でエネルギーの品質を判断することは適切ではないのです。

廃棄されるエネルギーが保有する温度レベルと熱量は、その上流側に位置する設備や機器の仕様により決定されておりますので、仕様を変えれば廃棄されるエネルギーの量や品質が変わってきます。

例えば、多くのプラントには多くのスチームタービンが採用されており、大型のプロセスガス圧縮機の駆動機としては復水タービンが、中小型の圧縮機やブロワーやファンには背気タービンが使用されています。背気タービンから流出するスチームの圧力レベルは0.3MPa~1MPaと言われており、プロセス用のスチームとして使用され、保有するエンタルピーが十分にリサイクルされています。
しかし、復水タービンから排出されるスチームの温度レベルはおよそ50℃ですので、量的なリサイクルは可能ですが、保有するエンタルピーを再利用することは現実的ではありません。

そこで、思い切ってこの復水タービンを背気タービンに変えてしまうのです。これにより排出されるスチームの質を向上させ、システムインテグレーションを容易に行えるようにしましょう。

そのためにはどうすれば良いでしょうか?

さて、この続きは次回に・・・。

2009年10月18日 (日)

システムインテグレーション その8 ”インテグレーションは整理整頓?”

スチームタービンの形式を単に復水タービンから背気タービンに変えると、同じ動力を得るために必要なスチーム量は増加します。

例えば、スチームタービンや遠心圧縮機などの回転機メーカーであるDRESSER-RANDのホームページから”Steam Products Estimation Tool”にアクセスして、復水タービンと背気タービン性能を比較してみよう。

前提は10,000kWの発電用スチームタービンで、入口スチーム条件を40bara & 350℃としてスチーム消費量を求めると、

  1. 背気タービン
    Inlet Pressure 40bara Flange Dia. 10 
    Inlet Temperature 350Deg. C
    Exhaust Pressure 3bara Flange Dia. 24 Exh. Temp. 133
    Inlet Flow 89,640kg/hr
    Desired Turbine Speed 3600rpm
  2. 復水タービン
    Inlet Pressure 40bara Flange Dia. 8 
    Inlet Temperature 350Deg. C
    Exhaust Pressure 0.16bara Flange Dia. 48 Exh. Temp. 56
    Inlet Flow 49,729kg/hr
    Desired Turbine Speed 3600rpm

両者のスチーム消費量を比較すると、背気タービンで約90ton/h、復水タービンで約50ton/hと大きな差がある。これではボイラー容量が倍近くになり、せっかく生み出した背気スチーム量も必要以上に多くなって使い道がなくなり、省エネルギーどころかエネルギーの浪費になってしまう。

ではどうすれば良いか?

唯一の回答は必要動力を減らすこと。つまり、徹底的に省エネを行って、必要動力を10,000kWから例えば6,000kW程度に減らすことで復水タービン並みにスチーム消費量を減らし、背気タービン形式の採用を可能にするのである。

なんだ、そんなことかと思われるかもしれないが、急げば回れでまず足元から省エネを行い、そこで生み出されたスチームを再利用して他のシステムとのインテグレーションに進む。

具体的な事案として、発電用スチームタービンと海水淡水化設備とのシステムインテグレーションを考えてみたい。

さて、この続きは次回に・・・。

2009年10月 9日 (金)

システムインテグレーション その6 ”インテグレーションパーツをなくせ!”

前回、インテグレーションパーツの候補となる幾つかを示してみました。そこで今回はどうやってインテグレーションパーツを選ぶかについてお話しましょう。

インテグレーションを構築するために廃棄されているエネルギーの温度レベルと熱量を整理すること説明しましたが、実はこの”見かけ”の温度レベルと熱量でエネルギーの品質を判断することは適切ではないのです。

廃棄されるエネルギーが保有する温度レベルと熱量は、その上流側に位置する設備や機器の仕様により決定されておりますので、仕様を変えれば廃棄されるエネルギーの量や品質が変わってきます。

例えば、多くのプラントには多くのスチームタービンが採用されており、大型のプロセスガス圧縮機の駆動機としては復水タービンが、中小型の圧縮機やブロワーやファンには背気タービンが使用されています。背気タービンから流出するスチームの圧力レベルは0.3MPa~1MPaと言われており、プロセス用のスチームとして使用され、保有するエンタルピーが十分にリサイクルされています。
しかし、復水タービンから排出されるスチームの温度レベルはおよそ50℃ですので、量的なリサイクルは可能ですが、保有するエンタルピーを再利用することは現実的ではありません。

そこで、思い切ってこの復水タービンを背気タービンに変えてしまうのです。これにより排出されるスチームの質を向上させ、システムインテグレーションを容易に行えるようにしましょう。

そのためにはどうすれば良いでしょうか?

さて、この続きは次回に・・・。

2009年10月 5日 (月)

システムインテグレーション その5 ”インテグレーションパーツを見つける”

インテグレーションを構築するためには、まず、利用されずに捨てられているエネルギーを見つけることです。そのためにはプラントの熱収支を計算して、廃棄されているエネルギーの温度レベルと熱量を整理します。

もちろんエネルギーには圧力エネルギーや化学反応熱などの内部エネルギーがありますので、熱量には生成熱量あるいは発熱量を含めることにします。また、圧力変化も温度変化に変換されていますので、温度とエンタルピーを計算することで事足りるでしょう。

圧縮機による圧力エネルギー増加は、吐出ガス温度上昇として現れています。例えば多段圧縮機の中間冷却器の熱負荷は、全段の圧縮軸馬力と等しいとして近似することが出来ます。

そこで廃棄されているエネルギー、つまりインテグレーションパーツの候補となる一例を示してみます。

  1. プロセス流体冷却器:下記の項目を除く冷却水などで捨てられている熱。一般には60~80℃以下の温度で、回収できる熱量としてはA、B、Cの中のBクラス。一部はボイラー水の予熱などに利用されているが、全てを回収することは出来ないので冷却器はなくならない。
  2. 循環系の冷却器:脱硫系や合成系など循環ループを構成する設備に設置されている冷却器。温度レベルが50~60℃以下と低く、循環流量が多いために熱量としては膨大である。回収できる熱量としてはA、B、Cの中のCクラス。
  3. 蒸留塔の凝縮器:温度レベルは蒸留塔の塔頂温度に等しく、60~70℃。ただし、熱量的には大きく利用価値があるのだが、凝縮器の設置場所が高所にあるなど、再利用する上で難しい点がある。
  4. 燃焼排ガス:燃焼炉からの排出ガスが有する熱量。温度レベルは100℃以上で利用価値があるが、圧力が低いためにエネルギー密度が低い。
  5. スチームタービンの凝縮器:スチームタービンからの排気スチームの凝縮器で、温度レベルは40~70℃。捨てられる熱量は膨大。

さて、ここからどうやってインテグレーションパーツを選択するのかは、次回に・・・。

2009年10月 1日 (木)

システムインテグレーション その4 ”燃料システムへの影響”

前回に引き続き、余剰水素の挙動についてお話しします。この話を進めるためには、関係する燃料燃焼システムについてお復習いをする必要があります。

燃焼システムは燃料を供給する配管系、燃焼量を調節する制御系、そして燃料を燃焼させるためのバーナー系から構成されています。それぞれの系の仕様は燃料の種類によって異なりますが、ここでは円滑に話を進めるために気体燃料を使用する燃料システムに限定します。

先ほどの余剰水素の挙動に関係するのは制御系とバーナー系で、一般に気体燃料を使用するシステムではバーナーに供給する燃料を圧力制御で行います。つまり、燃料配管系に圧力制御弁を設けることで燃料の流量を制御します。制御弁の下流に位置するバーナーの挙動はノズルと同様で、バーナーを通過する燃料流量はバーナーで許容出来る差圧の平方根に比例し、燃料の分子量の平方根に逆比例します。これを式で示しますと、

燃料流量∽(差圧)^(1/2)、燃料流量∽(分子量)^(-1/2).

ここで先ほどの余剰水素と関連させて考えます。

余剰水素が燃料システムに流入する前の燃料組成はメタンや二酸化炭素などを多く含み、分子量は10程度ですが、余剰水素の分子量は約半分の5となります。燃料の制御は圧力で行っていますので、分子量の小さな含水素燃料が流入してきますと、同じ差圧でも流量は(分子量比)^(1/2)に逆比例します。つまり、流量は1.4倍に増加します。

ただし、含水素燃料の持つ発熱量が小さいので流量増加をある程度相殺出来ますが、なお一時的には燃焼量が増大します。また、バーナーフレーム(炎)の長さが分子量に逆比例しますので、この含水素燃料が流入するとフレームが長くなり、改質管内の温度分布を急激に変える可能性があります。これらの現象は改質管の熱履歴に大きな影響を与えることになり、そこから改質管の破裂というリスクを引き起こします。

このようにインテグレーションが何らかの理由で停止した際のリスクについて十分に検討し、設計等に反映する必要があります。

2009年9月24日 (木)

システムインテグレーション その3 ”アンモニアとメタノール”

プラントの予期しない運転停止は経済的な損失を招くだけではなく、プラントの寿命を損なう好まざるアクシデントです。

もし、プラントの運転が続行できないような状況に出くわした場合でも、オペレーターはもちろんマネージャークラスも運転継続を優先します。一度運転を停止すると、製品出荷ができなくなり売り上げが減るだけではなく、再スタートまでのタイムロスと経費負担を恐れるからです。そのためにしっかりとした運転マニュアルを整備し、日常的にオペレーターへの訓練が欠かせません。さらに、万が一を考えて安全にプラントを停止させるようにインターロックシステムを構築します。

前回、”アンモニアプラントとメタノールプラント”のインテグレーションのお話をしましたが、アンモニアプラントの運転停止により副原料である炭酸ガスの供給が停止しますので、メタノール生産量は約20%減少します。また、炭酸ガスの供給場所はガス化工程とメタノール合成行程の間にありますので、原料である天然ガス量が変わらない限りガス化工程の運転状態は大きくは変動しません。また、メタノール合成工程の設備容量はガス化工程に比べ約10倍と大きく、炭酸ガスカットによる合成ガスの組成変動の影響は短時間では現れませんので、その間で運転による対応が可能となります。

しかし、ここに予期せざる事態が起きました。

それは余剰水素の復活です。前回、説明いたしましたように天然ガスを原料とするメタノールではカーボン源が不足するために水素が余剰となります。この水素を水蒸気改質炉で燃料として使用していましたが、アンモニアプラントから炭酸ガスをインポートすることで、余剰水素はメタノールに変化していたのです。しかし、炭酸ガスの供給が停止しますと、余剰水素は再び燃料システムに流入します。

しかもこの余剰水素が有する熱量は水蒸気改質炉に必要な熱量の約90%に匹敵します。もし、余剰水素が溢れてきたらどうなるでしょうか?

この続きは次回に・・・。

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