プロセスエンジニアのためにウェブサイト

最近のトラックバック

水素社会

2006年5月30日 (火)

水素をつくり、ためる

NEDOは水素先端科学基礎研究事業の委託予定先を産業技術総合研究所と九州大学に決定した。(5月29日)(以下、NEDO発表資料を一部引用いたしました)

この研究事業の目的は、水素の長期的利用において課題となる水素脆化メカニズム等の水素安全利用に関する基礎的科学的研究である。

燃料電池等を中心とした水素エネルギー社会の実現のためには、製造した水素を液化または高圧化した状態で輸送・貯蔵する技術が必要不可欠であるが、そのための高エネルギー密度(液化・高圧下)での水素物性が不十分である。
よって、本研究事業において、水素物性等に係る高度な科学的知見の集積を行い、水素社会到来に向けた基盤整備を行うことを目的に、液化・高圧化した状態における水素物性の解明、液化・高圧化による材料の水素脆化の基本原理の解明及び対策検討などの基礎研究を実施する。

国内での水素製造量は約266億m3(2000 年)で、その99%以上は産業部門で自家消費されている。この自家消費されている水素は、製鉄、石油精製、石油化学等の副生産物に含まれる水素と、化学肥料やエチレン等の化学製品の原料などとして製造されている水素が主である。外販されている水素量は年間でわずか1.5億m3に過ぎない。この水素の消費量が今後どのような伸びになるか分からないが、市場の拡大が期待されていることは間違いない。

水素は単体では自然界にほとんど存在しないため、水素の化合物である石炭、石油、天然ガスといった化石資源、バイオマスや水を分解して製造される。化石資源を原料及びエネルギーとして用いる場合には、水素とともにCO2を排出する。現在、商業化されている水素製造技術は、メタンと水を原料にして化石燃料をエネルギー源とする水蒸気改質法(Steam Reforming)や水の電気分解法などがある。化学製品の原料用水素の約9 割がこの水蒸気改質法で製造されている。水の電気分解法は、電力が安価なカナダ、エジプトなどで用いられているが、日本ではその生産量は非常にわずかである。

Hydrogen_process

天然ガスを原料とした水蒸気改質法による水素製造プロセスを図に示す。この水素製造プロセスは、天然ガス中の硫黄分を除去する脱硫工程、水蒸気による水蒸気改質工程(Steam Reforming)、改質ガス中に含まれるCOを転化して水素を得るCO転化工程(Shift Conversion)、転化ガスから水素を選択的に分離するPSA工程(Pressure Swing Adsorption)から構成されている。分離された水素は製品として送り出され、残ガス(H2/CO/CO2/CH4)は水蒸気改質炉の燃料として再利用される。
前半の硫黄分を除去する脱硫工程と水蒸気改質工程(Steam Reforming)は、一部の運転条件やフローに違いがあるものの、アンモニアプロセスやメタノールプロセスと共通の工程である。また都市ガスなどを原料とした燃料電池のガス化プロセスは、この水素製造プロセスを基本としているので水蒸気改質法が採用されている。

2023年2月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28        

考えてみたいこと

無料ブログはココログ