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日記・コラム・つぶやき

2008年4月16日 (水)

プロセスの構築13 ユーティリティーシステム&スチーム条件の設定

前節でも説明したように、スチーム条件を設定する際に考慮すべき項目の一つはスチームタービンの駆動用スチームとしてのポテンシャル、つまり熱力学的なエンタルピー落差が十分にあるかどうかという点である。

これについてはメーカーのスチームタービンの仕様などを参考にして、駆動スチームとして利用価値があるかどうかを調べる必要がある。

それ以外に考慮すべきことは反応器の伝熱設計である。つまり、反応器の温度条件をもとにスチーム条件(温度圧力)を最適化する必要がある。

なぜならば、反応器の温度条件が175~200℃であれば、熱伝達を考えると発生できるスチームの温度条件はガス側温度より低い温度でなければならない。例えば、10~15℃程度低くくすれば、スチーム温度は160℃以下となる。これは次式を見れば理解できる。

Q(伝熱量) = A(伝熱面積)×U(総括伝熱係数)×ΔT(温度差 = ガス側-スチーム温度)

しかし、この160℃をスチーム条件として選択することは、後で述べる理由により不可能と判明した。それは合成管ガス側の物性から来ている。コムテック・クウェストのホームページでは、”→次回に述べる・・・。”と書いておりますが、このブログをご覧になっている方にはヒントを差し上げましょう。それは以下の合成管出口ガス組成を見ればお分かりになるはず。因みに運転圧力は3MPaを想定しています。

  1. H2          44.02%
  2. CO           0.87%
  3. CO2       14.09%
  4. N2           1.74%
  5. C2H5OH   9.84%
  6. H2O       29.44%

2008年4月11日 (金)

プロセスの構築11 ユーティリティーシステム&合成管熱回収

エタノール合成は発熱反応なので、反応を持続させるためには反応熱を適切な手段で除去する必要がある。そのために以下のような方式が採用される。

  1. クエンチ方式:加熱前の合成管供給ガスの一部を取り出し、合成管の適所に直接供給して温度を制御する
  2. 熱交換器方式:合成管構造を熱交換器形式にして、適当な冷却媒体にて間接的にガス温度を制御する

クエンチ方式では反応熱を希釈するために熱回収は出来ないが、熱交換方式では冷却媒体を使用するので熱回収が可能となる。また、必要な触媒量もクエンチ方式に比べ少なくなる。そのために、このどちらを選択するかは、(合成管+触媒)のハードコストと熱回収されたエネルギーコストの両者を比較して決めることになる。

例えば、冷却媒体として温水を選定し、蒸発させることで反応熱を回収するケースでは、発生スチーム量は次式で計算できる。つまり、

発生スチーム量=冷却負荷÷スチーム潜熱
          =43,688×3600kJ/h÷2,113kJ/kg
          =74,433kg/h

つまり、毎時約74ton強のスチームが回収できる。ただし、スチーム条件を150℃の飽和蒸気としています。

なぜ、このような条件を選んだのかについては、もう少し議論が必要ですので、次回にまわしたいと思います。

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