プロセス開発と商品化 その2「三次元的なものの見方」
”プロセス開発と商品化”の第2回目は「三次元的なものの見方」です。
当たり前の話ですが、プラントを構成する機器や装置は平面的に配置されているわけではありません。機器を縦方向に配置することにより敷地面積を縮小し、建設資材を減らすことでコストダウンが可能となります。
それ以外にも立体的な配置にしなければならない理由があります。例えば、蒸留設備の設置計画を考えてみましょう。
蒸留塔は塔本体とコンデンサー(凝縮器)やリボイラー(再熱器)、それと関連するポンプや槽から構成されています。これらの機器を設置する際には、各機器を連結する流体の性質や流れ方向を考慮する必要があります。つまり、
- 塔頂を出た蒸気を冷却凝縮するコンデンサーがエアークーラー(空気冷却器)を採用する場合には、コンデンサーの設置高さは出来るだけ塔頂に近接するのが望ましい。
- コンデンサーの冷媒に冷却水を採用する場合には、蒸気配管と冷却水配管の引き回し(配管長さと重量)を考慮して設置高さを決定する。
- リボイラーは塔ボトム液を加熱して蒸発させ、熱源として塔本体に戻します。このリボイラーは塔ボトム近辺に設置しますが、循環方式(自然循環方式と強制循環方式)を考慮してリボイラーと塔の位置関係や配管長さを決定します。ただし、ベーパーロック(急激に液が蒸発し、蒸気がチューブ内に充満して流れが停止する現象)を避けるために、少なくてもリボイラー接液部は塔ボトム液面より下に位置しなければなりません。
これ以外にもコンデンサーからの凝縮液を一時的に貯留する循環ドラムとコンデンサーとの位置関係にも注意を払う必要があります。一般には循環ドラムはコンデンサーより下に設置されますので、塔運転が停止した場合には一度に滞留液が循環ドラムに流れ込みます。特にエアークーラータイプのコンデンサーは冷却管だけでなくヘッダーやマニホールドなど容積が大きいので、必然的にそこに滞留する凝縮液量が多くなりますので、循環ドラムの容量を大きくする必要があります。
このように縦方向の位置関係により、機器の大きさを変更する場合もありますので、三次元的なものの見方を忘れてはなりません。
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