原単位についての覚え書き その7 ”電力源単位の考え方”
プラントが必要とするユーティリティの中で一番重要なのは電力である。
その理由としては、
- 機器(回転機など)だけでなく、計装制御に必要不可欠である。
- プラントをスタートする際に、最初に必要なユーティリティである。
- 電力供給が停止した場合、つまり停電した場合のプラントへの影響(運転及びメンテナンス)が甚大である。
プラント運転に必要な電力は、周りを取り囲む地域、数千人から数万人規模の都市で消費する電力に匹敵します。そのために外部の発電所から専用の高圧線を引っ張って電力を供給してもらうか、プラント内に自家発電所を設けて必要量を確保します。
いずれの供給形態においても電力を消費するので、プラント原単位を計算する際には電力原単位を考慮しなければなりません。
例えば自家発の場合には、電力原単位は発電所で消費する燃料消費量をベースに計算します。この燃料原単位をプラントの原単位にプラスすれば良いのですが、外部から電力を供給してもらう場合にはどうすればよいのでしょうか。
プラント原単位を良く見せようとするならば、一日の電力消費量kWhを熱量換算(1kWh = 3600kJ)して製品生産量で割れば計算できます。具体的に数値で説明しますと、
- 一日の製品生産量:1000トン
- 電力消費量:1500kW
電力原単位 = 1500kW×3600kJ/kWh×24h÷1000 = 0.130GJ/トン
ところが電力を得るためにはガスタービン発電機やスチームタービン発電機などを使用しますので、本来であればこれら発電機の熱効率(25~40%)を考慮しなければなりません。つまり、先ほどの電力原単位は以下のようになります。ここで熱効率を30%にしました。
電力原単位 = (1500kW÷30%)×3600kJ/kWh×24h÷1000 = 0.432GJ/トン
貴方ならどちらの数値を使用しますか?
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