原単位についての覚え書き その5 ”スチーム原単位”
前回、”スチームコスト”についての説明が中途半端に終わりましたので、今回は終わりまで詳細に説明しましょう。
このスチームのコストについて説明するに当たって、スチームを作るために必要なエネルギー量について説明します。ご存じのようにスチームはボイラーや廃熱ボイラーにて製造しますが、その際に使用されるエネルギー量は熱効率が既知であれば容易に計算することが出来ます。重油や天然ガスなどを燃料に、ボイラーでスチームを作る際の熱効率は次式で定義されます。
熱効率 = スチームエンタルピー(kJ/h)÷燃料熱量(kJ/h)
燃料消費量は上式で求めた燃料熱量を燃料発熱量で割って計算します。
燃料消費量(kg/h) = 燃料熱量(kJ/h)÷燃料発熱量(kJ/kg)
燃料の発熱量には高発熱量(GHV)と低発熱量(LHV)とがあり、ボイラーなどでは低発熱量を採用することが多いようで、熱効率は88%~92%となっています。
ここでボイラーから発生するスチームの一部をエクスポートするケースを想定し、スチームの原単位を計算してみましょう。条件は、
- スチーム条件:圧力4MPaの飽和蒸気
- エクスポート量:10t/h
- ボイラー熱効率:90%
スチーム(4MPa飽和蒸気)のエンタルピーは 2800kJ/kg ですから、熱効率から求めますと必要な燃料熱量は 3111kJ/kg(=2800/0.9)となります。つまり、エクスポートするスチームを作るために実際に消費する熱量は、
熱量 = 3111kJ/kg×10,000kg/hr = 31.11GJ/hr
となります。
また、このボイラーが設置されるプラントでの製品生産量を一日2000トンとしますと、エクスポートスチームの原単位は、
スチーム原単位 = 31.11GJ/H×24hr÷2000ton/day = 0.373GJ/ton
つまり、単位製品生産量(ton)当たりのスチーム原単位は0.373GJとなりました。
しかし、この原単位の計算は本当に正しいでしょうか?
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