”プラントの品質は原単位により左右される”
プロセスエンジニアリングの基本業務の一つに物質熱収支計算があります。
この収支計算ではプラントに入ってきた原料と出て行く製品+廃棄物の重量バランスと熱バランスを計算したもので、物質収支はマテリアルバランス(material balance)、熱収支はヒートバランス(heat balance)と言われています。
これ以外にエネルギー収支(エネルギーバランス)も計算され、そこでは原料や燃料だけでなく、ユーティリティ(スチーム、冷却水、電力)全てを考慮した収支計算を行います。
一方、企業決算などで利用されているバランスシート、つまり貸借対照表は企業内における資金の調達と運用の状況を示したもので、企業体質の改善や改革の必要性を判断したり、時と場合によっては企業存続の是非を問う物差しとなります。
プラントにおける物質収支と熱収支およびエネルギー収支により何が分かるでしょうか?
製品生産量当たりの原料消費量や燃料消費量を求めたり、同じく製品生産量当たりの廃棄物量やエネルギー消費量を計算することで三つの”出来る”が理解できるでしょう。
- 製品生産量当たりの原料消費量(原料原単位)から製品を作る上での無駄を探し出すことが出来る。
- 製品生産量当たりの廃棄物量から環境負荷を計算することが出来る。
- 製品生産量当たりのエネルギー消費量(エネルギー原単位)から燃料の無駄や熱回収システムの不備などを洗い出すことが出来る。
以上の理由から、プラントの原単位は建設コストと同様に、客先がプラント建設にゴーサインを出すかどうかを判断する上で重要なポイントになります。
そこで、プロセスエンジニアリングを実施する上での格言の最初は、
「プラントの品質は原単位により左右される」
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