非化石利用促進法と石油代替利用促進法
「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案」及び「石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律等の一部を改正する法律案」について内容を抜粋して説明します。
あらかじめ断っておきますが、これらの法律の名称が長いので、仮に以下のように名称を簡略化します。
- 「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案」を非化石利用促進法と言うことにします。
- 同じく「石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律等の一部を改正する法律案」を石油代替利用促進法と言うことにします。
この二つの法律の目的は、
- これまでの石油代替エネルギー施策を見直す
- 非化石エネルギー源の利用と化石エネルギー原料の有効な利用を促進する
- 結果として、日本のエネルギーの安定的かつ適切な供給の確保を目指す
これらの法律の制定と改正の背景には、
- 代エネ法に基づく石油代替政策により、石油依存度を低下させてきたが、石炭、天然ガスを含む化石燃料全体としての依存度が依然として8割以上と高いこと (*1)
- 近年の世界のエネルギー需要の急増等により、今後とも従来どおりの量・質の化石燃料を確保していくことが困難であること (*2)
- 低炭素社会の実現に向けてのエネルギー供給や使用に対し旧法では対応が不十分なこと
*1 2006年調査では、一次エネルギーに占める石油、LPG、石炭、天然ガスの割合は44%、3%、20%および15%で、合計で82%であった。なお、原子力は11%、再生可能および新エネルギーは6%であった。
*2 化石燃料の海外依存度は石油99.6%、天然ガス9.2%、石炭99.3%である。
まず、非化石利用促進法の主な内容は
- 非化石エネルギー源の利用
・太陽光、原子力等の非化石電源の利用(電気事業者)
・バイオ燃料、バイオガスの利用(石油事業者、電気事業者)
・太陽光発電による電気の利用に係る適正な対価での買取り等(電気事業者) - 化石エネルギー原料の有効な利用(石油事業者、電気事業者)
・原油や天然ガスを有効に利用してガソリンや都市ガスを製造すること等
つまり、太陽光や原子力などCO2を排出しないエネルギー、あるいは自然循環型のバイオマスをエネルギー源として特定し、電力業界にはその利用を促進するために太陽光発電による電気の買い取りを推進させる。計画では2020年までに非化石電源を50%以上にするのが目標である。
そして、石油業界あるいはガス業界において、化石燃料をエネルギー源として一挙に使用不可には出来ないので、省エネを十分に図ることが要求されている。
更にこれに合わせて技術開発の促進をはかる。その中には、例として以下の技術開発が示されている。
- 水素の製造・貯蔵、燃料電池
- メタンハイドレードやオイルサンド
- 石油残渣高効率分解
- ガス化複合発電
- バイオマス
また、同時に石油代替利用促進法等の一部を改正する。そこでは、同法に基づき開発・導入を促進する対象を「石油代替エネルギー」から「非化石エネルギー」(新エネ、原子力等)に変更する。
以上が主な内容である。
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