プロセスの構築17 合成ガス循環機軸馬力計算
良く知られているようにガス圧縮機や循環機の軸動力は次式に依る。ただし、BHP:軸馬力(kW)、G:質量流量(kg/h)、Hp:ポリトロピックヘッド(m)、ηp:ポリトロピック効率、ηm:機械効率。
BHP=G×Hp÷(3600×102×ηp×ηm)
ここでHpは次式から計算される。ただし、Z:圧縮係数(定圧では一般に1)、Mw:ガス分子量、Ts:吸込温度(℃)、CR:圧縮比(=Pd/Ps)、k:ガスの比熱比、そしてBは比熱比とポリトロピック効率から計算できる変数。
Hp=(Z×848/Mw)×(273.15+Ts)×(CR^B-1)/B
B={(k-1)/k}/ηp
エタノール合成設備の合成ガス循環機の質量流量Gは循環ガス量で、5615.5kmol/h、72,599kg/h、分子量Mwは12.928、吸込圧力Psは2.8MPa、吐出圧力Pdは3.1MPa、吸込温度Tsは35℃とします。また、ガスの比熱比はH2、CO、N2などの二原子分子が約77%、三原子分子のCO2が残り23%なので、次式より1.384とする。
k=1.4×0.77+1.33×0.23=1.384
また、ポリトロピック効率は80%、機械効率を98%とすると、
B={(k-1)/k}/ηp=(1.384-1)/1.384/0.8=0.3468
Hp=(Z×848/Mw)×(273.15+Ts)×(CR^B-1)/B
=(1.0×848/12.928)×(273.15+35)×{(3.1/2.8)^0.3468-1}/0.3468
=2,094m
BHP=72,599kg/h×2,094m÷(3600×102×0.8×0.98)=528kW
以上で合成ガス循環機の動力が求められた。この軸動力に相当する熱量が外部から設備にもたらされるが、この熱量増加はどのような現象に結びつくかと言えば、合成ガス循環機の出口温度が上昇するのである。ガスの平均比熱を31.1kJ/kmol-Kとすれば、温度上昇は約10℃となり、出口温度は45℃になると予想される。
また、最終的には合成管出口ガス冷却器の冷却負荷が528kW増加することになる。
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