エタノール合成システムのまとめ1
Process designのエタノール合成システムにて説明した際に使用したブロックフロー図やグラフを、プレゼンテーション風にまとめてみました。
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エタノール合成管における温度分布は入口出口温度、ガス組成、そして反応熱除去の仕組みにより変わってくる。
入口出口温度やガス組成は物質熱収支計算により一義的に決まってくるが、反応熱除去あるいは回収の仕組みは合成管の構造に左右される。§6.2の合成管熱回収で構造形式を熱交換器方式としているので、この構造を前提に温度分布を想定すると下図のようになる。図の左には反応器の構造を、右側に温度分布を示した。構造としてはチューブ(冷却管)とシェル(胴体)に分かれている。チューブ側には触媒が充填されており、ガスは上から下へ流れ、シェル側下方からは水が流入し、上方へ移動する間に反応熱を除去することで蒸発する。
また、温度分布図を見るとわかるように、流入したガスは最初は断熱的に温度上昇しピークを迎え、その後、冷却媒体である水・スチームと熱交換しながら、しだいに一定温度に落ち着いていく。その際、水・スチーム温度は一定に保たれており、ガス側の入口温度と出口温度の間を示している。
この時の入口出口ガス組成を示す。
この出口におけるガス組成から水の凝縮温度(飽和温度)を算出すると約175℃になる。つまり、反応ガス温度が何らかの原因で175℃以下になることがあれば、ガス中に含まれているH2Oの一部が凝縮することになり、それは触媒へのダメージやガス流れに影響を及ぼすことが十分に考えらられるので、是非とも避けなければならない。
このような可能性は果たしてあるのか。一つ考えられるのは、冷却管(チューブ)の内面である。つまり、チューブ外表面温度は水・スチーム温度に極めて近く、内面温度は主にチューブ壁の伝熱抵抗により決定される。チューブ材質(一般には合金鋼)の熱伝導度は良好なので伝熱抵抗も小さく、チューブ内面温度も水・スチーム温度に極めて近いと考えられる。
そこで、このエタノール合成管で回収するスチーム条件を以下のように設定する。
スチーム飽和温度=ガス出口側におけるH2O凝縮温度+10℃(余裕)=175℃+10℃=185℃
この温度条件であれば、ガスが反応の途中で凝縮することもなく、反応熱を適切に回収できるとした。(余裕10℃が十分かどうかは今後の検討課題)
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前節でも説明したように、スチーム条件を設定する際に考慮すべき項目の一つはスチームタービンの駆動用スチームとしてのポテンシャル、つまり熱力学的なエンタルピー落差が十分にあるかどうかという点である。
これについてはメーカーのスチームタービンの仕様などを参考にして、駆動スチームとして利用価値があるかどうかを調べる必要がある。
それ以外に考慮すべきことは反応器の伝熱設計である。つまり、反応器の温度条件をもとにスチーム条件(温度圧力)を最適化する必要がある。
なぜならば、反応器の温度条件が175~200℃であれば、熱伝達を考えると発生できるスチームの温度条件はガス側温度より低い温度でなければならない。例えば、10~15℃程度低くくすれば、スチーム温度は160℃以下となる。これは次式を見れば理解できる。
Q(伝熱量) = A(伝熱面積)×U(総括伝熱係数)×ΔT(温度差 = ガス側-スチーム温度)
しかし、この160℃をスチーム条件として選択することは、後で述べる理由により不可能と判明した。それは合成管ガス側の物性から来ている。コムテック・クウェストのホームページでは、”→次回に述べる・・・。”と書いておりますが、このブログをご覧になっている方にはヒントを差し上げましょう。それは以下の合成管出口ガス組成を見ればお分かりになるはず。因みに運転圧力は3MPaを想定しています。
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冷却水や温水と並んでスチームは重要なユーティリティーである。
エタノール合成管で回収発生したスチームをどのように活用するかは、スチームシステム全体を考えて決める必要がある。一般的にスチームの利用形態は、
この中のどれを選ぶかは、発生スチームの圧力温度条件とそれぞれのニーズに依存する。例えば、発生スチームの条件が150℃飽和(0.476MPa)の場合に、水蒸気改質炉の圧力が2MPaでは使用できないし、多くの熱を必要とする蒸留工程などが設置されていない場合には、スチームの利用方法は制限される。
このエタノール合成プロセスでは、スチームをスチームタービンの駆動用として利用することにする。そのためには対象となるスチームタービンの被駆動機を決定しなければならない。また、先ほど設定したスチーム条件がスチームタービンに適用できるかも調査する必要がある。これらは次回に行うことにする。
特にスチーム条件の設定には十分に注意を払う必要があります。何故でしょうか?
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エタノール合成は発熱反応なので、反応を持続させるためには反応熱を適切な手段で除去する必要がある。そのために以下のような方式が採用される。
クエンチ方式では反応熱を希釈するために熱回収は出来ないが、熱交換方式では冷却媒体を使用するので熱回収が可能となる。また、必要な触媒量もクエンチ方式に比べ少なくなる。そのために、このどちらを選択するかは、(合成管+触媒)のハードコストと熱回収されたエネルギーコストの両者を比較して決めることになる。
例えば、冷却媒体として温水を選定し、蒸発させることで反応熱を回収するケースでは、発生スチーム量は次式で計算できる。つまり、
発生スチーム量=冷却負荷÷スチーム潜熱
=43,688×3600kJ/h÷2,113kJ/kg
=74,433kg/h
つまり、毎時約74ton強のスチームが回収できる。ただし、スチーム条件を150℃の飽和蒸気としています。
なぜ、このような条件を選んだのかについては、もう少し議論が必要ですので、次回にまわしたいと思います。
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熱収支の計算が終わったら、次に冷却あるいは加熱に必要なユーティリティーについて検討する。
このエタノール合成システムでの合計の冷却熱量はおよそ93,192kWになる(物質熱収支計算結果参照)。その内訳は、合成管での冷却負荷が43,688kW、合成管出口ガス冷却器での冷却負荷が49,504kWになる。
この二つの冷却負荷は熱量的には同等であるが、プロセス側の温度が大きく異なる。つまり、合成管出口ガス冷却器での被冷却側(ガス)の温度は170℃~35℃であるが、合成管での被冷却側(ガス)の温度は175℃~200℃と高くなっているので、冷却側の温度レベルを慎重に決める必要がある。。そのためには伝熱計算を行う必要があるが、まだ概念設計の段階であるために、便宜上、以下の方針で冷却システムを設計する。
後者での冷却媒体を冷却水ではなく、温水にする理由については次節で説明するので、ここでは冷却水量を計算する。
冷却水温度を入口25℃、出口35℃なので、冷却水の必要量は次式より計算する。つまり、毎時約4千トンもの冷却水が必要となる計算結果が得られた。
冷却水量=冷却負荷÷(冷却水比熱×冷却水温度差)
=49,504kW÷(4.184kJ/kg℃×10℃)
=49,504×3600kJ/h÷(4.184kJ/kg℃×10℃)
=4,259t/h
注:熱量の単位換算では熱化学で使用する1kcalth = 4.184kJを使用しています。ただし、"th"は"thermal"を意味しています。
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