プロセスの構築8 熱収支と熱回収
熱収支(熱回収システム)についてホームページに掲載しました。繰り返しになりますが、その内容を紹介します。
エタノール合成における循環システムを熱利用の面から、合成管に供給されるガスの加熱を合成管出口ガスにて行うことが可能です。この熱利用(熱回収)を上手に行うためには、”供給ガス温度<合成管出口ガス温度”の条件が好ましいので、供給ガス温度を175℃、合成管出口ガス温度 = 合成温度200℃に設定します。この条件で熱回収を計算し、その結果を下図のブロックフローに示しました。つまり、
- 合成管供給ガス(35℃)を”供給ガス熱交換器”にて175℃まで加熱する。
- 合成管出口ガス(200℃)は”供給ガス熱交換器”にて170℃まで冷却される。
- ”供給ガス熱交換器”を出た合成管出口ガスは”出口ガス冷却器”にて35℃まで冷却され、エタノール分離器に移送される。
もし、この熱回収を行わないとすれば、エタノール合成循環システムに外部から供給する熱量が増加して原単位が悪化するが、熱回収を行うことで原単位は改善する。具体的には、エタノール生産量が1058T/D、”供給ガス熱交換器”での熱回収量が約60.7GJ/hであるので、原単位改善は、
60.7GJ/h×24h÷1058T/D=1.38GJ/T-EtOH
エタノールの高位発熱量(液)が約29,700kJ/kgですので、この原単位改善はエタノールの持つ発熱量に対し、約5%弱となります。
1.38GJ/T-EtOH÷29.7GJ/T-EtOH=4.7%
ただし、熱交換器が1基から2基に増加するので機器コストは増加します。一般的には以下の原則が成立しますが、経済的かどうかを判断するためには償却年数や原単位向上による原燃料のコストダウンなどを考慮する必要がありますので、注意して下さい。
原単位の向上あるいは改善=ハードコストの増加≠経済性の低下
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