プロセスの構築6
宿題の答えを説明する前に、気液分離の性能が低下した場合に、どのような現象が考えられるだろうか?
当然ながら、分離された未反応合成ガス中に液滴(エタノール+水)が混入するので、循環システム中に設置されている循環機の羽根に機械的なダメージを与える。
循環機を出た未反応ガスは原料である水素と二酸化炭素と混合した後、反応に必要な温度(200℃)まで加熱される。そのため液滴は蒸発してガス中の(エタノール+水)濃度が上昇する。
濃度が上昇すると、反応器入口近辺の触媒上での反応速度が低下するので、反応器におけるエタノール生成量が減少する。つまり、エタノールの生産量が減少することになる。(生成物濃度増加で反応速度は低下する)
この仮想的なエタノールプロセスと類似したアンモニアプラントやメタノールプラントにおいて、原因は違うが、このようなトラブルが実際に運転中に起きており、なかなか原因が掴めずに経済的な損失を出した例も少なからずある。この場合の原因は、気液分離器上流の冷却器(凝縮器)の機能が低下し、気液分離器に入る合成ガス温度が上昇したために、未反応合成ガス中の生成物(アンモニアやメタノール)濃度が上昇したためである。
次回は、いよいよ循環システムの構成を決定した後、熱収支について説明したい。
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