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2008年2月16日 (土)

プロセスの構築5

前回、循環システムの構築のためには3つの作業が必要になると説明しました。そこで、今回は「未反応な合成ガスをエタノール(+水)から分離し回収する」方法について説明します。

多くの化学プラントでは、気相と液相を分離するために気液分離器を使用します。この気液分離器の形式は、以下の三つに分けることが出来ます。

  1. 縦型分離器:縦型のノックアウトドラムとも言われ、ワイヤーメッシュデミスタが設置されているものとそうでないものがある。
  2. 横型分離器:横型のノックアウトドラムとも言われ、ガス量が多いフレアーガスに同伴される可燃性液体を分離する際に使用されることが多い。一般にはワイヤーメッシュデミスタは設置されない。
  3. 特殊分離器:ベーン(傾斜した羽根)やサイクロンを使った分離器で、ベーンセパレータとかサイクロンセパレータと呼ばれることが多い。補修効率などはメーカーのノウハウになっていることが多く、エンジニアリング会社では設計しないで外注することが多い。

この気液分離は単に気相と液相を分離するだけではなく、非常に重要な役割を持っている。例えば、圧縮機上流に設置される気液分離器の性能が十分でなければ、圧縮機吸込側に同伴されるミスト(液滴)量が増加して、圧縮機の羽根に多大なダメージを与える。また、ボイラに設置されるスチームドラムの分離性能が悪ければ、同伴されるミストが下流のスチーム加熱器で蒸発し、その際に加熱管表面にミスト中の微量成分がスケールとなって伝熱性能を妨げて、ついにはスチーム加熱器を破損させる。もし、スチーム加熱器が無くてスチームタービンに直結している場合には、圧縮機と同様にスチームタービンのブレードにダメージを与える。

先ほどのワイヤーメッシュデミスタは分離性能の向上を目指して設置されるもので、10μ以上のミストを99.9%以上補修する。ベーンセパレータはガス流速が早くても補修効率が低下しないので、容器を小型化出来るというメリットがある。

これらの分離器性能の良し悪いはプラントの運転やメンテナンスに影響し、稼働率の低下からプラント全体の財務状況にも大きく影を落とす。

さて、この「未反応な合成ガスをエタノール(+水)から分離し回収する」ためにも、この気液分離器を使用するが、もし気液分離の性能が低下した場合には、どのようなマイナス面が考えられるだろうか?

次回までの宿題にしたい。

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