企業と情報(仕事とIT)

2007年5月19日 (土)

先輩の知恵を後輩へ(1)

5月19日付けの朝日新聞の朝刊に、「事故調の知恵、後輩へ」という見出しで、日航機事故元委員らが自らの体験を後輩に伝え、調査に貢献するためにNPO「航空・鉄道安全推進機構」を設立したとの記事が載っていた。

このNPOに参加している人の大半が60歳代で、後10年も過ぎればこの人たちの経験も知恵も散失してしまうので誠に有意義な試みだと思う。

先日、打合せの後で客先の責任者からベテランのエンジニアを紹介してもらえないかとの依頼があった。この責任者からは以前にも同じことを言われ、その時は元上司の男性を紹介して感謝された。だから、今回の依頼は二度目ということになる。実は担当者からはすでにお願いされていたのだが、なかなか適任者が見つからず困っていた。

このような状況、つまり熟練したエンジニアや技術者が不足するという状況は今後とも変わらないと思う。ここ数年は団塊の世代が大量に退職し、再就職や起業することにより、かれらの経験や知恵を後輩に伝えたり残したり出来るが、それも10年も経つとそういうわけには行かなくなる。そのためにはどうしたらよいか、企業のトップは真剣になって考えるべき時に来ているのではないだろうか。

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2006年11月 4日 (土)

リスクとビジネス その1

リスク、つまり危機を回避するためにはノウハウが要る。

これからのビジネスはリスク回避がキーワードだ。

”これからのビジネス”と言ったが、実は”今までのビジネス”の中にもリスクを回避することを目的に創られた業種は多い。例えば、銀行も資金不足というリスクを回避するために創出された業種と考えることも出来る。もちろん、保険業は病気や怪我、あるいは死亡という人生のリスクに対応するために考えられた業種である。

このリスク回避とビジネスについてしばらく考えて行きたい。そこに新たなビジネスの萌芽が見られるかも・・・。

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2006年7月20日 (木)

突然のHDDトラブル

先日、恐れていたことが現実となった。HDD(パソコンのハードディスク)が壊れてしまった。

このパソコンを買う際にミラーリング(HDDは2台で常時1台がバックアップ可能)にして安全対策を取ったのだが、これが裏目に出てどちらのHDDも動かないという大トラブルになってしまった。結局、メーカーに修理に出すことにした。幸いにも、外付けHDDでデーターのバックアップと、たまたまノートパソコンを買って少なくてもインターネット環境は整備しておいたのが不幸中の幸いだった。

教訓:(参考にする価値あり?、それとも当たり前・・・)

1)バックアップは外付けのHDDなどで行う。ミラーリングの効果は低い。
2)バックアップはWINDOWSとMy Documentは別々にする。他のパソコンにデータ移行することを考えて。
3)各種丸秘情報は外付けHDDに保存する。外部に修理に出した際のリスクを考えて。

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2006年4月27日 (木)

Googleは中国を征服するか...

このところ、検索エンジン「Google」についての話題が何かと多い。先日、題名に惹かれてたまたま買ったのが梅田望夫著「ウェブ進化論」であった。その中で、氏は特にグーグルの情報戦略について熱っぽく説いており、私も寝床の中で一気に読んでしまった。

ニフティのインターネット検索サービス(Google search)やGoogleのツールバーを利用していたので、何となくグーグルというのは優れた検索サイトだとの認識は以前からあった。最近、Google Earthをdown loadしてみたが、あたかも何千メートル上空を飛んでいるような感覚や流れるような風景、あるいは画面の鮮明さにぶったまげてしまった。

「ウェブ進化論」の行間には、著者の梅田望夫氏のグーグルの持つ技術力に対する共感や、何を目指しているか分からないという不安が感じられた。先日、グーグルは中国版検索サイトである「谷歌」を立ち上げた。この「谷歌」実現に際しては、グーグルは中国政府の検閲要求に屈した格好になっており、色々言い訳をしているものの、グーグル自体の世界戦略(?)の実現のためには”強いものには巻かれろ”的な感じが否めない。

ただし、中国国内ではこの「谷歌」の名称に反対しているサイトもあり、中国版グーグルの前途多難を予感させる。なお、asahi.comの記事によれば、

グーグル関係者によると、「谷歌」は「豊かな収穫の歌」という意味。ユーザーの検索プロセスはまさしく収穫の過程であり、「谷歌」という名称は詩的着想によって「豊富で多彩な検索体験」を表している。

となっているようだ。

ちなみに「谷」を字統で調べると、

「谷」は谷の入口の形を現しており、山気の深奥なるところであるから、神霊の依るところとされ、民間的な信仰の対象でもあった。

と記載されているので、「谷」は中国の一般大衆にとっては神霊化された言葉なのかもしれない。

いずれにせよ、グーグルのような高度な情報技術を持っているグローバル企業と、13億もの人口を有する大国「中国」が手を組んだ結果がどうなるか、非常に興味がある。

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2006年4月18日 (火)

Winnyと雇用形態

Winnyを起点としたネットワーク上への情報流出による影響は、情報漏洩を行なった民間企業や官公庁におけるリスク管理の不備という視点で述べられていることが多い。しかし、日本経済のすそ野を構成する中小企業や自営業者の側からの物言いはあまり聞こえてこない。

今年2月には防衛庁の機密情報漏洩が発覚し、小泉総理が関係省庁に再発防止を指示した。しかし、Winnyによる情報漏洩はとどまることを知らず、警察、自衛隊、日本郵政公社、刑務所、裁判所、原子力発電関連施設、地方自治体など官公庁でも被害を受け、ついに3月15日には安倍官房長官がWinny使用自粛を記者会見で国民に呼びかけた。
この呼びかけに応えるかのように、民間企業や官公庁において、業務に使用しているパソコンでのWinny使用禁止や、すでにインストールされているWinnyの削除、重要情報やパソコンの持ち出しや禁止の動きが広がっている。
さらに契約社員を対象とした情報漏えいに関する管理も強化され、人材派遣会社の動きも風雲急である。

中小企業や自営業者におけるWinny-ウイルス対策は当然ながら万全とはいえない。そこにはセキュリティシステムへの理解不足やシステム導入における経費の増加などがマイナスのファクターとして働いており、経営資源の小さい中小企業や自営業者を取り囲む環境はますます厳しくなる。

現実的に考えるならば、企業や官公庁の機密情報管理の強化は、そこで働く正社員や職員の労働時間の延長、つまり自宅に仕事を持って行けないために残業時間や休日出勤の増加につながる可能性がある。また、今まで業務委託をしていた中小企業や自営業者の切捨てと派遣依頼を促すことになり、非正社員の正社員化への傾向と相まって労働力の「囲い込み」に繋がる可能性がある。

本来、パソコンやインターネットなどによるIT化は、民間企業や官公庁などの組織体における業務改善を促し、専門能力を持った個人をベースにした業務形態へ移行するかと思われたが、Winnyによる情報漏えいと機密保持強化の動きは、これらの流れを阻害する可能性が出てきた。今後、社会状況がどのように変化するかを十分に注意して見守る必要がある。

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